おやゆび便り

<先におやすみ。>

朝みんながたのしそうなことを
やっているときにじぶんが寝てるのは、
別に耐えられるというか、
まあなんてことはないのだけれど、
夜みんながこれからまだたのしいことを
するぞというときにじぶんだけ先に
寝てしまうというのがどうにも苦手で、
だからいつまで経っても夜型というか、
夜更かししてしまうというのか、
気づいたら朝になっておるわけです。

たのしいことをしている「みんな」というのも、
別に実際に手のとどくところ、
目のとどくところにいるわけではないんです。
むしろいないというか、架空ですらなく、
もうただの思いこみや妄想でさえあって。
しいていうなら、過去のぼくだったり、
未来のぼくだったりするのかもしれません。

人は得るよろこびよりも、失う痛みのほうが大きく、
耐え難いのだというのは有名な事実です。
その観点から見れば、早起きして
たのしいことに加わるのは、得るよろこびです。
一方で、夜たのしいことの最中に、
あるいはこの先にありそうなたのしいことを前に、
先に寝てしまうのは失う痛みです。
じぶんが痛みだと思っているだけで、
失うと信じているだけで、ほんとうにはそこに、
なにもない可能性の方がぐっと高いのですが、
でも痛みだと、失うのだと、思っていることがもう、
どうしようもない間違いなのでしょう。

あなたはまだ起きていますか。
ぼくはまだ起きていますが、
早めに寝てやろうと思っております。
それがうまくいくのかどうかわかりませんが、
重要なポイントはわかっているのです。
すなわち、諦めるのだと。
諦めるのは簡単だという人もありますが、
いいえそんな、諦めることほど、
苦しい選択はありませんから。
諦めないほうが、あるいは楽だという道も、
けっこうあるのではないですか。

では、また書きます。
諦められないことが、幸せを生み、不幸をつくって。

イデトモタカ