「つ」から始まる小さなお話*

<次の社会。>

次の社会の想像をしてみました。
競わず、比べず、争わない、
いまとは真逆の非競争社会。
もし、そういう世界になったら、
いろんなものが成り立たなくなるのか。

これはぼくのいたって甘い考えですが、
大丈夫なんじゃない、と思います。
むしろ、すごくいい社会になりそうです。
現在の競争社会では、
ほとんどの企業が他企業の存在を意識して、
時にはあからさまにライバル視して、
モノをつくったり、サービスを展開しています。
そしてモノの基準やサービスの内容、
価格さえもライバルや他企業を意識して、
あっちがこうならこっちはこう的に
決定されているように見えてしまいます。

けれどもこれは、消費者目線ではありません。
作り手目線でもありません。
ライバル・他企業目線です。
ではなぜそうなるかといえば、
競い、比べ、争う競争社会だからだと思います。

想像してみましょう。
仮に、競わず、比べず、争わない、
非競争社会があったとします。
そこでは商品やサービスは、
顧客目線、作り手目線で行われます。

それぞれの作り手(メーカ)は、
それぞれの立場を明確に表明し、
じぶんが重要だ、いい、一番だと思うものを発表します。
それを今度は問屋が、またそれぞれの立場でもって、
これがいい、これはうちの価値観と合う、合わない、
という判断基準でもって選び、小売店に紹介します。
そして小売店も同様に、
じぶんのお客さんにとって一番だと思うもの、
いまの世界に相応しいと思うものを店頭に並べます。
最後にぼくら消費者も、価格や品揃えではなく、
じぶんの価値観と合うか、
じぶんの憧れるライフスタイルに近いか、
そういった基準でもってお店を選び、
そこでじぶんに一番合ったものを買います。

その結果、立場や価値観があやふやなお店やメーカーは、
支持されずにどんどんつぶれていくと思います。
生産するモノ自体の量も減っていくでしょう。
これまでのたくさんつくってコストを下げることで、
他よりも価格的競争力をつける、
という必要も意味もなくなるからです。

作り手(メーカー)、問屋、小売店、消費者、
それぞれが理想とするライフスタイル、
生き方、価値観をベースに関係を築きます。
そこでは競争よりも調和や美意識が優先されるでしょう。
そうなると、いいなぁと思います。

これはただの夢物語ではなく、
いまの世界でそれを見事にやってのけている
企業やお店もあって、すごいなぁと感心します。
ぼくの独断と偏見でご紹介するなら、
まずその筆頭が「無印良品」を展開する良品生活、
そして「アフタヌーンティー」などの、
独特の世界観とライフスタイルの提案で
たくさんのファンをつくっているサザビー、
あとはその立場の表明と価値観のブレなさに脱帽する
「通販生活」のカタログハウス。

こういった企業がうんと活躍しているゆえに、
次の社会、非競争の訪れも、
そう遠くないんじゃないかなんて夢想しております。
これはあてずっぽうな予言だけれど、
完全な非競争社会にはきっとならないけど、
それに近い世界には、必ずなると思いますぜ。

だって、そっちの方がたのしそうじゃない?

イデトモタカ(2012年7月3日)