「の」から始まる小さなお話*

<野宿。>

野宿を、したことがありますか。
野宿を、してみたいと思いませんか。
ぼくは野宿をしたことがありませんし、
一度くらいならしてみたいと思います。
でも、していませんし、おそらく、
これからもしないだろうとわかります。
つまり、したくないんです。

野宿なんて、ほんとうにしたかったなら、
今すぐにだって、今日にだってできます。
外でごろっと夜を越すだけですから。
行動だけでいえば、一円もなくても、
子どもでも、できます。
でも、やらない。
「一度くらいならしてみたい」と思いながら、
それもけっこう長いこと思いながらも、
しない。
それはやっぱりね、やりたくないんですよ。
それが本音というものです。

複雑な条件がうんと絡んでいるのなら、
それもやっぱり「やりたくない」の反映です。
これだけのことがそろえばやりたい、というのは、
そうでなければやりたくない、です。
こういう「野宿」のようなことは、
人生にたくさんあります。

船旅をしたいといいながら、しない。
英語を勉強したいといいながら、しない。
本を読みたいといいながら、読まない。
起業したいといいながら、会社を辞めない。
作家になりたいといいながら、原稿を書かない。
もう寝たいといいながら、ケイタイをいじっている。

これらは「野宿」とは違うもののようにみえますが、
本質的にはおなじものです。
やりたいことなら、やるものです。
だって、初デートには、行くでしょう。

イデトモタカ(2013年4月7日)