「ゆ」から始まる小さなお話*

<湯。>

湯、ってのは、いいね。
あったまるもんね。
ふしぎなもので、
からだがあたたまると、
どう勘違いしたのかこころまで、
しだいにポカポカしてくるもので。
だから「湯」っていうのは、
そういう意味でも薬なんだよね。

思うんだけどさ、
ひとは、好きな人ができたとき、
愛したい、愛を分かち合いたい、
という気もちになるでしょ。
それは異性だけじゃなく、同性でも、
家族でも、ペットでもね。
そしてこの「愛したい」の
一つのわかりやすいかたちが、
ぼくは「おいしいもの」だと思うんだ。
好きな人には、おいしいものを食べさせたい。
一緒においしいものを食べたい。
これが、なんというか、愛だと思うんだよね。

ぼくは「あったまる」というのも、
この「おいしいもの」と同じじゃないかと
そう思うんだよね。
好きな人には、あったまってほしいし、
一緒にあったまりたい。
それは、からだだけじゃなく、こころもね。
そう考えると、ますます、
湯っていうのはいいよね。

ああ、温泉宿なんて、もう最高だよね。
円満夫婦の旅行でも、不倫や浮気の旅行でも、
温泉宿が定番なのはやっぱり、
好きな人とあったまって、
一緒においしいものを食べたいんだと思うんだ。

ポカポカしたい。
にんげんには、そういう欲求も、
基礎の部分であるんじゃないかと思うんだよねー。

イデトモタカ(2011年11月07日)