「ろ」から始まる小さなお話*

<ロールプレイングゲーム。>

路肩に車を止めながら、
ちょうど一回りくらい歳上の女性が、
車の中でぼくにいいました。
「人生で無駄なものなんて一つもなかった。」
凡庸なことばだけれど、やっぱり、
いざ重みをもっていわれてみると、
深く考えてしまう台詞であります。

ぼくの人生で、無駄なことだと放置して、
学びを獲得していない出来事はなんだろう。
そうふと思ったときに、
最初に浮かんだのが「ゲーム」のことでした。

小学生のころ、ぼくも人並みに、
テレビゲームというものに夢中になっていました。
そして結構な時間を、RPGと呼ばれる
ロールプレイングゲームに費やしていました。
じぶんがある物語の主人公になって、
仲間を集めたり、経験値を増やしたりしながら、
悪者を倒していくのが目的です。
『ドラゴンクエスト』が代表的ですけれど、
ぼくはそういったロールプレイングゲームから、
一体どんなことを教わったのかしらん。

あらためて記憶をたどってみると、
ロールプレイングゲームというのは、
たいていじぶんの生まれ育った
小さな町からスタートします。
そして最初は町の周辺で弱い敵を倒しながら、
戦いというものに馴れていき、
少しずつですが経験値とお金を貯めていきます。

そして機会を伺って、次のもう少し栄えた街に行き、
なけなしのお金で、少しでもいい武器を手に入れます。
その道中で、出会った人の協力をしたり、応援をしたり、
積極的にイベントに参加することで仲間を見つけ、
一緒にさらに広い世界へ行こう決意をあらたにします。
そうしてまた黙々と、ひどく地道に、経験値を増やし、
できることを増やし、貯めたお金で装備を整え、
どんどんと役に立つ存在になっていきます。

ああ、これはまさに、人生の縮図ではないですか。
小さな世界のできることからはじめていき、
少しでもいい装備を手にすることにお金を使い、
ときにはじぶんよりも仲間に対してお金をそそぎ、
地道に経験値を上げては強い相手(イベント)に挑戦し、
じぶんを次のステップに追いやるために街(環境)を変え、
そしてみんなの役に立つ存在を目指していく。
(最後にはまた故郷に戻って幸せに暮らす・・・・。)

ロールプレイングゲーム、すごいな!
こんなにもたくさんの、そして大切な教訓を、
あるいは生きるルールを、教えてくれていたのか。
これまでにたくさんの本を読んだけれど、
一つの素晴らしいロールプレイングゲームの方が、
学ぶべき点は多いのではないかしらん。
なんて、そんなふうにも思えてしまいます。

さて、とりあえず、装備を充実させながら、
新しい街に出向いてみましょうか。

イデトモタカ(2012年12月14日)