ぶら下がるのにも・・・。

「おとこのこになりたい!」
そう思ったことのある女性は多いのではないだろうか。
わたしはおもいっきりそう思っていた。
自分のことを”ボク”と呼んだり、
立ちション試して失敗したり。

「おとこのこになりたい」願望の強かったひとほど
男の子に負けまいとがむしゃらに仕事してしまいがち。
だって、おとこのこにはなれないんだから。
せめておとこのこと同じところに立っていたいじゃない?

ところで、私には長年お世話になっているご夫婦がいる。
ご主人はいわゆる地位も名誉も人望もある人。
そしてその奥様はそのそばでいつも幸せそう。
あるとき、その奥様がこんなことを言っていた。

ぶら下がるのにも腕力がいるのよ。

男の人にぶら下がるなんて考えたこともなかった・・・・。
だって、いっつも競争する相手だったから。
そんな男の人のそばで幸せに過ごすには
せいいっぱい腕力使ってぶら下がることが大事だったんだな〜。
これまでわたしが「そんなの恰好悪い」と思い
自身がそうなることを毛嫌いしてきたのは
”しがみつく”行為だったんだな、って気がついた。
しがみつくときは顔をしかめて全身で必死になる。
ぅわぁ〜、わたしはそんなの耐えられない!とね。

こどものころ、お父さんの腕にぶら下がるのが大好きだった。
お父さんは私がキャッキャいうのを見てうれしそうだし、
「もう1回♪」ってリクエストをエンドレスに聞いてくれた。
そしてわたしはお父さんすごい!って思ってた。

落とされるかも、なんて考えもしなくって、
ただひたすら、腕の力でぶら下がってた。

そうか。相手に依存することがぶら下がることではなくって、
頼るときはおもいっきり頼る。
ありがとう、うれしい、って言う。
しがみつくのとは違って、
ぶら下がるには相手が力入れてくれなくちゃできない。
ぶら下げられるだけの腕力を披露できた人もきっと満足。
なんかいいね、そういう関係。

わたしはこれまで、おとこのこになりたがって
心も身体も走ってばっかり。
腕力きたえることをしてこなかったので、
いつのまにか上手にぶら下がれなくなってしまってた。
もうちょっと腕力鍛えて、
お父さんにぶら下がっていた時みたいに
上手にぶら下がれるようになりたいな。

そうやって良い人生を過ごせたら、
きっと神様が、今度はおとこのこにしてくれるかも、
なんて渋い期待をいだき、こころも身体も
腕立て伏せなんてはじめてみましょうか。

河村羽美(2012年8月25日)

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