フォーム気にせず走って走って・・・。

わたしは結構「形から入る」タイプである。
衣装をそろえてその気になる、いわゆる「形」はもちろんのこと、
それだけでなく、わりと「型」にもこだわるたちだ。
まずは技術の向上よりも、
「上手そうに見える」ことがだいじじゃない?と。
ビリヤードを教えてもらったときも、
ゴルフを教えてもらったときも、
「まずは上手に見えるように、形を教えて!」とお願いし、
結局なかなか上達しないしおもしろくもならない。
つまらなくなって、どちらももうやめてしまった。
武芸で「型」を反復練習する、みたいな崇高なことじゃなく、
つまりちょっと低レベルな「形から」なのである。

フルマラソン目指して走りはじめたのは5年ほど前。
当時教えてくれる人はまわりに誰もいなくて、
専門誌を読んだところでさっぱりイメージできなしいし、
しようがないからただただひたすら毎日走った。
お恥ずかしながら、初日は300mしか走れず、
形から入る余裕もなくて滑稽なフォームでがむしゃらに走って、
少しずつその距離がのびていくことに大喜びしていた。

最近、トライアスロンでオリンピックを目指したことがあり、
今は指導者となっておられる女性と知り合う機会があった。
「まずフォームをきっちり整えることからはじめるのと、
我流でもなんでもまずはがむしゃらに練習重ねるのと、
どっちのほうが伸びるの?」という質問に対して、
ランニングを取り上げて答えてくれた彼女のひとことがこれ。

フォーム気にせず走って走って走ったほうが、
結果速くなる場合が多いです。


彼女は単身アメリカに渡って指導を受けていたので、
そのアメリカでの経験を踏まえて教えてくれたのはこうだ。
傾向として、アメリカ人はまず、走って走って走る。
日本人は、まず正しいランニングフォームを身につけようとする。
そして、どっちの方がより速くなるのかというと、
アメリカ人の練習の方が勝ちであることが多い、というのだ。
日本人のきれいなフォームもすてきだと思うから、
一概にどっちがいいのかはわからない、と彼女は言うが、
少なくとも「速くなること」を目標とした場合、
とにかく走って走って走る、フォームはそのあと、
という考え方のほうが「勝ち」だというのは興味深いと思った。

今わたしが楽しいと感じながら続けていることは、
そういえば形にこだわるよりもまずあれこれやってみたことだ。
ランニングにしたって、そういえばお料理もそうだし、
「仕事する」ということそのものに対してもそうかもしれない。
良い言い方すれば自由、言い方変えたらわりと放置、
そんな状況でがむしゃらに働くことからスタートしての今がある。

ある人がギターを習得しようと思い、教室に通い始めたところ、
まずドレミファソラシドを弾き分ける練習からで、
全くおもしろくなくて上達する前にやめてしまった。
ところが、のちに再びギターを手にし、コードを弾いてみたら、
楽しくて楽しくて、なぜドレミからスタートしたのか不思議に思う、
と言っていたことをふと思い出した。

何をするにしたって、本物になっていくために最初に必要なのは、
ほんのちょっとの上達した感と、楽しいって思うきもちだろう。
走って走って走ることでそれはきっと感じられる。
程度の差はあるだろうけど、うん、きっとそうだと思う。
仕事でも趣味でも、なかなか続かないことがあるのなら、
まずは「形」は無視して、一度がむしゃらに
走って走って走ってみてはいかがでしょう。

河村羽美(2012年11月10日)

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