作用は・・・。

お恥ずかしながら、こんな大人になって、
年甲斐もなくケンカというものをしてしまった。
そもそもなんでそんなことになったのか思い起こすと、
なんてことないひとことに
わたしが反応してしまったのがはじまり。
言い返して、そしたら更に言い返されて、
わたしも負けてたまるかと更に言い返す。
なんどかくりかえすうちに、ケンカになっちゃったのだ。

数日前、知人の男性が、夫婦間のケンカが絶えない、
ということを切実に悩み、相談しているところに居合わせた。
その時、話を聞いていた男性は、ひと息置いて、
あたりまえだけれどつい忘れてしまいがちな、
とっても大切な法則をポツポツと語ってくれた。

作用は反作用を生むからね。

「作用・反作用の法則」とうものがある。
物体Aが物体Bに力を加えると、必ず物体Bも、
それと同じ大きさで反対向きの力を返す、という物理の法則。
これはこころも同じだ、という。
そして、それ以上たくさんは語らなかったけれど、
相談していた男性には、それ以上の説明はいらない、
そのときわたしにはそう見えた。

そもそも、奥さんがケンカをけしかけてくるのは、
あなたもそんな振る舞いをしているのではないか。
そう言われたら反発もしたくなっただろうけれど、
作用が反作用を生んでいる、と気づいた途端、
うんうん、と頷いて、そして少し穏やかな顔になった。

壁を押したら、壁も同じ力で押し返す。
物理学的にはそういうことになるのだろうけれど、
こころはもうちょっといろんなパターンがあってもいいと思う。
負の感情がやってきたとき、同じ力で押し返すのは、
必ずしも負の感情ではなくてもいいと思うのだ。
それに、こころには「かわす」とか「受け流す」という、
作用のオプションも用意されている。

わたしは子どもの頃、両親がケンカしているのを見たことがない。
父親はとてもとても短気だったのに、だ。
今思えば、母親は父親の怒りの感情を押し返すのではなく、
うまいことかわして受け流していたように思う。

先のわたしのケンカにしたって、最初のひとことを
負の感情と捉えて押し返したのはわたし。
もしそのことばに、笑って返していたとしたら、
相手が発したそのことばそのものは、
「冗談」になっていたのかもしれないのだ。

人は変えられない、変えられるのは自分だけなのだから、
ちょっと受け取り方や、押し返し方を変えてみたり、
それもできないと思えば、うまくかわして受け流そうと思う。
そうしないとこころの中が嫌な感情に占領されて、
何よりも自分を痛めつけるのだから。
作用は反作用を生む。
相手にも、自分のこころにもやさしくありたいものですね。

河村羽美(2013年2月2日)

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