あなたはものへの・・・。

洋服でもなんでも、ずっと前に買ったものを
手入れしながら大切に使っている人を見ると
なんだかいいなあと思う。
私が憧れてやまない「きちんと生活している人」
じゃなくてはそうはいかないからね。

あなたはものへの感謝が足りない

これは、ある男性が、
「かみさんによく言われるんだ」と教えてくれたことば。
たとえば、仕事から帰り、スーツを脱いで
そのへんにパッと置いた時なんかに言われるという。
今日いちにち共に過ごした洋服に対して
感謝する気持ちがあればそんな扱いにはならないはずだ、と。
その話を聞いてわたしもはっとした。
洋服に、靴に、鞄に、ペンに、
はたして日々感謝しているだろうか。

電化製品を買い換えようと思ったとたん、
急に壊れてしまった、という話や、
調子悪かったから買い換えようかと話していたら、
それを聞いていたかのように調子良くなった、
なんて話をよく耳にする。
まるでこころを持っているかのようじゃないか。

この世に存在しているすべての物質は
人間や動物や植物と同じように、
なにかしらの想いなんかを持っていて、
それはもともとは作り手の想いだったものから、
だんだんと、使い手の想いが込められていくのだ、
と言われたら、何の根拠もないけれど、
うん、そうだね、と私はきっと頷く。

持ち主がものを大切に愛したら、
持ち主とものの間に愛情が生まれたら、
ものもきっと愛情を返してくれるだろう。
そしてその愛情は、日々の感謝の気持ちによって
育まれていくんだな、と思うから、
その奥様が、日々ご主人にそう言っているのは
本当に素晴らしいことだなぁ、と、感心してしまった。

大切なものを丁寧にずっと使うことや、
反対に、タイミングがきたら、
感謝しながら潔く手放すこと、
生きる上でこれらはとても大切なことだと思う。
と、ここまで書いて思ったけれど、
これって人間関係と全く同じじゃないか。

「わたし」は「わたし」として存在しているのではなく、
誰かや何か、人やものと何かしら関係したときに、
はじめて「わたし」という存在が発生する。
いてくれてあたりまえ、そこにあってあたりまえ、
そう思ってしまいがちだけれど、
そうじゃなく、人にもものにも感謝だなぁ。

ある女性が、ご主人の仕事が成功するように、
契約書にサインする時はこれを使ってね、と、
その昔万年筆をプレゼントしたことがあるんだ、
という話を聞かせてくれた。
純粋に誰かの成功を応援しようと思える
その気持ちとものとを受け取ってくれる人がいる、
その両方が揃っている、ということ。
そんな贈り物をしたりされたりしながら、
人やものに感謝して生きる。
そういうシンプルな生き方が、
きちんとした生活ってやつなのかもしれないですね。

河村羽美(2013年3月16日)

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