家庭って・・・。

もし、ご主人がいきなり20万円持って帰ってきたら、
奥様はどう反応すると思いますか?

実際にあった話なのですが、
ある男性が、休日に1日出かけていって、
それだけで20万手に入る仕事を受けました。
20万なんて大金です。
帰宅してすぐその20万円を奥様に差し出したところ、
「20万よりも、そばにいて」と
冷たく言い放たれたんだ、と憤慨していました。

よくよく話を聞くと、その男性は
「男は背中で語るものだ」的な思想の持ち主で、
その1日のために少し前から仕事時間外で準備をし、
休日に1日出かけるそのときも、その理由は何も語らず、
20万円を「どうだ!」とばかりに差し出して、
奥さんをびっくりさせてやろう、感謝されるに違いない、
そんな期待を抱いていたんだそうです。

家庭って、合理的では割り切れないものなんだ

これは、ある時、別の男性が、自身の家庭を振り返り
つぶやいたひとことです。
何を考えているのか、どこで何をしているのかわからない。
せっかくの数少ない休日にも何も言わずに出かけてしまう。
彼と過ごす1日が20万円よりも価値があるのか、
と言われたらいささか疑問でしょうけれど、
そんな合理的な話じゃないんだよな、と、
彼の話を聞きながら、このことばを思い出していました。

長々と書いて何が言いたいのかというと、
「ちゃんとことばにして伝えようよ」ということです。
えぇ、たったこれだけのことです。
でも、それだけのことがなかなかできないんです。
人間は「ことば」を持っている唯一の動物。
けれど、ことばがそのまま感情を表すわけではない、
というのもいろんなことをややこしくしています。
先ほどの奥様にしたって、
きっともっと別の伝えたい感情があったに違いないでしょう。
自分の気持ちを何もことばにしないで、
互いに「察してよ」と言い合うことほど
不毛なことはないんじゃないですかねぇ。

「言わなくってもわかるだろう」なんて幻想です。
自分が相手の気持ちをわかっている、
ということはそれほど問題ではなく、
相手が、「自分の気持ちをわかってくれている」
と感じてくれることのほうが、ずっと大切です。
わかってくれている、と感じてもらうためには、
ちゃんとことばで伝えなくちゃいけないのだろうし、
まっすぐに伝えなくては伝わらないのだろうと思います。

合理的に割り切れないのはなにも家庭だけではなく、
感情なんてそもそも合理的なものじゃないのですから、
人間関係なんてそもそも理屈で解決できません。
けれど、せめて感情をうまくことばにできたなら、
理屈抜きの関係も良い方向に転がるように思います。

うれしかったら「ありがとう」を。
申し訳ないなと思ったら「ごめんなさい」を。
さみしい時には「さみしい」を。
好きな人には「好き」と。
ちゃんとことばにして伝えましょう。
照れくさかったり、ちょっと悔しかったり、
そんなちっちゃなプライドを守るよりも、
もっと大切なことを大切にしたいですからね。

河村羽美(2013年3月23日)

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