お皿を下げるとき・・・。

あるレストランのおはなし。
ミーティング中、ホールスタッフの方たちに、
お客様からどんな声をかけられたいか質問したところ、
ほとんどの人は「おいしかった」と言われたい、
と答えました。
つまり、なかなかそう言ってもらえない、ということです。
おいしい料理を提供している自信はあります。
じゃぁどうしたらそう言ってもらえるのだろう、
そうなったらスタッフのやる気も上がるから、
もっともっとよいサービスができるのに、と、
皆であれこれ考えていました。

そこへ、あるスタッフが
「そんなの簡単だ」と言い出しました。
自分はよく「おいしかった」と言われるよ、と。
いったいどんな秘策があるのか、皆興味津々です。
そこで彼が言ったのはこんなことばでした。

お皿を下げるとき「お味はいかがでしたか?」と聞くんだよ

それまで、「お下げしてよろしいでしょうか?」
と言いながらお皿を下げている人がほとんどでした。
けれど、欲しいことばがあるのなら、
そのことばをもらえるように働きかければいいのです。
もちろん、全員がおいしかったと言ってくれるとは限りません。
それでも、「お味はいかがでしたか?」と聞けば、
おいしかったと思った人はそう答えてくれるでしょう。

わたしのお仕事はセミナーの運営です。
そのセミナーでは、皆ニックネームで呼び合います。
はじめ、わたしは名札に「ゆみ」と書いていました。
そうすると、「ゆみちゃん」と呼ばれることもありますが、
ほとんどの場合は「ゆみさん」と呼ばれます。
でも、呼ばれて心地良いのは「ゆみちゃん」でした。
そのセミナーは定期的にメンバーが入れ替わるので、
あるとき、おもいきって、名札を「ゆみちゃん」に変えました。
ほとんどの人が「ゆみちゃん」と呼んでくれるようになりました。

「私のこと好き?」と聞かれるのが面倒だ、
というはなしを聞くことがよくありますが、
実は、わたしはこの質問、賛成派です。
いや、面倒だというのもわかるんですよ。
ちょっと冷めかけてる時に何度も聞かれたら、
それこそ冷め加減は加速度的に進行しますからね。
不安だから、と、本気でこの質問をされても、
いい気はしない上に、悲しくもなるでしょうしね。
けれど、「好き」と言ってほしいから、
その答えを一番もらいやすい質問をする。
それってものすごく健全だなぁと思ってしまうのです。

以前、「ことばにして伝えよう」というようなことを
ここで書かせていただいたことがあるのですが、
それと同じくらい、これも大事だと思っています。
言ってほしいことばがあるのなら、
そのことばをもらえるような質問を、行動をしよう。

おいしかったときに、「おいしかったです」と
屈託なく伝えられるひともすてきですけどね。

河村羽美(2013年5月19日)

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