つっかかりたいわけじゃなくて・・・。

人はなかなか素直になれない。
えぇ、そうです。「人」と言いながら、
これは何よりわたし自身のことを言っています。
誰かに何かを求めることはとても苦手で、
いや、求めているとことを伝えるのが苦手で、
伝えられずに身悶えたことは何度だってありますとも。
どうでもいいことだったら図々しくできるんです。
でも、本当に望んでいることほど言えないんですよね。
望みどおりにいかなかったときにがっかりするから、
だったらはじめから何も言わないでおこう、と。
そっと気付いてくれないかな、なんて期待しながら。

あるとき、特定の同僚女性に対して
ものすごくキツくあたるパートさんがいました。
はっきりとものを言うタイプの方でしたから、
まだ付き合いの浅かった私も苦手意識を持っています。
2人ともわたしの部下だったので、
どうしたものかと友人に相談していたときに
もらったアドバイスがなるほど、でした。

つっかかりたいわけじゃなくて、
かまってほしいんじゃないの?


そうかもしれない、と直感で思ったので、
それ以降、そのパートさんには、
用事があってもなくても話しかけ、
なんだかんだと仕事をお願いして頼り、
そうこうするうちに距離も縮まっていきました。
わたしと彼女の関係性が変わっただけなのに、
その頃には同僚への攻撃も止んだのです。
不思議な話ですけれど、ほんとうの話です。

何かを期待して、でも言い出せなくて、
相手はそれに気づいてくれない、なんてときに、
すねてみたりつっかかってみたりして、
なんとか気づかせようとしてきたよね、と、
我が身を振り返りただいま猛省中。
でもね、こういう人いっぱいいるんじゃないのかなぁ。
わけもなくつっかかってくる人は、
言えない言葉を飲み込んでいるからなのだし、
自分がつっかかりたくなったときもまた、
言えない言葉を飲み込んでいるときなのでしょう。
全てがそうとは言えませんけれど、
そういう場合はたくさんあるのではないかと思います。

わたしの実家に先日、「ヒメ」という名の子犬がやって来ました。
遊んで欲しければ「遊んで〜」とばかりに甘えてきます。
初対面のわたしにも、警戒することもなく尻尾をふります。
実家にはもう一匹、「シャルロット」という名のネコがいて、
シャルロットはなかなか甘えるのが苦手なネコで、
でもわたしにはいつもくっついてきてくれていたのに、
ヒメを触ったあとは、全く近寄って来なくなりました。
すねちゃったな、とそっとしておいたのですけれど、
もっとかまってあげなくちゃいけなかったんでしょうね。
そして、シャルロットに遠慮してヒメに無愛想だったわたしは、
素直になりきれない自分を重ねていたのかもしれないです。
ヒメの素直さは、犬の特性といえばそうかもしれませんが、
それにしたってずいぶんとうらやましいものです。

思ったことを全部言うのが正しいとは思いません。
けれど、素直に伝えたら叶えられることは、
叶えられずにがっかりすることよりうんと多いのではないか、
と、ヒメを見ていると思うのです。

河村羽美(2013年7月25日)

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