<ノット・エレガントのすすめ。>

ある歯みがき粉工場でのお話。
チューブに中身をつめて、
それを箱に入れて、
最後に透明の袋にラッピングをして、
完成品をダンボールに詰めていきます。
その工程のなかで
人の手がふれるところもありますが、
ほとんどは機械のお仕事でした。

けれど、この歯みがき粉工場には
一つとても大きな問題がありました。
何百個かに数個の割合で、
どうしても箱詰めのミスが起きて、
空箱のまま出荷されてしまうものがあったのです。
それ以外は完璧なのに、
この問題だけがずっと解決できずにいました。

あるとき、スーツを着た工場のお偉いさんたちが、
むずかしい顔をして長い会議をしていました。
いよいよこの問題と向き合おうとしたのです。
そこで偉い人たちは、いろいろな意見を出しました。

箱詰めする前に、人の手で確かめよう!
いやいや、人の手では間に合わないだろう。
じゃあ、ラインを遅くしよう!
それじゃ予定個数を出荷できなくなってしまう。
うーん、だったら・・・・。

最終的に会議では、
もう新しい機械を導入するか、
これまでの機械に新しいプログラムを入れるかで、
どちらにせよ数千万円以上もの投資が必要でした。
でも、仕方がない。
そう思っていました。

そう思っていた矢先に、
会議室に工場長が入ってきていいました。
「すみません、あの、空箱の問題ですが、
もう解決したんで大丈夫です。」

・・・・へ?

「いや、あの、解決しました。」

・・・・どうやって?

「パートのおばちゃんが思いついたんですけど、
箱詰めして、ダンボールに入れるコンベアーの間に、
大っきい扇風機を置いたらら、
空箱だけ軽くて飛んでっちゃいました。」

・・・・まぢで。


こういうことって、実は、
けっこうあるんだろうなぁと思うのです。
ぼくらはついつい、特に地位が位が上がると、
問題を複雑に捉えてしまいがちです。
あるいは、かっこよく、
エレガントに解決しなければと思ってしまいがちです。
でも、扇風機で解決できたりするんだなー。

ぼくはいつまでも、
そういう発想のできる人でありたいなぁと思います。

イデトモタカ(2012年7月15日)