<大切なものがふえるほど。>

大切なものがふえるほど、
守りたいものができるほど、
失ったら困るものがあるほどに、
人は「不安」になっていくものです。

ものごとは常にバランスをとっていて、
なにかを得たのなら、
そのなにかを失う不安もまた、
手中におさめることになります。
逆に、見落とされがちですけれど、
なにかを失ったなら、
それを守らなければという恐怖も、
一緒になくなっているものです。

ぼくらは裸で生まれてきました。
当然のことながら、
なにももたずにこの世界にきました。
それがいつの間になのか、
失いたくない、失ったら困る、
というものをたくさん握りしめていて、
「不安」をうんと抱えて生きてたりします。
これは、少し不思議なことです。

はじめは持ってなかったのに、
その存在さえ知らなかったのに、
ないと困るというのでした。
とはいえ、それがわるいということでもなく、
そういうものがあったからこそ、
発展した文明や守られた歴史が
あるのだろうという気がします。

ただ、不安にはなるよ。
とは思います。
多くの人が幸せになりたい、自由になりたい、
そう願って、そこを目指して生きています。
つまり、安心したいのだと思います。
そしてそれは、ぼくのことばでいうならば、
たくさんのものを知りながら、
なにも所有しない、持たない、
あるいは持っているけれど、
失っても構わない、困らない、
という状態のことをいうのだろうと思っています。

なにかを手にすることは、いいことだと思います。
それがモノにせよ、空間にせよ、地位でも感情でも。
持たなければわからないことは多いものです。
でもそれにこだわらず、無理に引きとめようとせず、
流れに身を任せられるかどうかが、
いわゆる自由に生きるための鍵のような気がします。

そのあたりのバランス感覚を、
じょうずに養っていきたいなぁと思います。

イデトモタカ(2012年7月26日)