<最上のわざ。>

みんなが「誰かのために」といって
行動したり働いたりしている世界と、
みんなが「有り難いなぁ」といって
謙虚に人の世話になってる世界と、
どっちに住みたいと神さまに訊かれたら、
ぼくは「謙虚に人の世話になってる」世界がいい、
というと思います。

昨日『ツナグ』という映画を観ました。
そこで樹木希林さんの演じるおばぁちゃんが、
口癖のように『最上のわざ』という詩を
いたる場面で諳んじます。
調べてみると、ヘルマン・ホイヴェルス神父が
友人から贈られた詩だそうです。
少し長いですが、美しいので引用します。


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「最上のわざ」

この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、働きたいけれども休み
しゃべりたいけれども黙り、失望しそうな時に希望し
従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見てもねたまず
人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり
弱って、もはや人のために役立たずとも
親切で柔和であること。

老いの重荷は神の賜物。
古びた心に、これで最後の磨きをかける。
まことのふるさとへ行くために。

おのれをこの世につなぐ鎖を
少しずつはずしていくのは、まことにえらい仕事。
こうして何もできなくなれば、それを謙遜に承諾するのだ。

神は最後に一番良い仕事を残してくださる。
それは祈りだ。
手は何もできない。
けれども最後まで合掌できる。

愛する全ての人の上に、神の恵みを求めるために。
全てを成し終えたら、臨終の床に神の声を聴くだろう。
「来よ、我が友よ。われ汝を見捨てじ」と。

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どんなときでも、祈ること、
つまり相手を想うことはできるものです。
昔仲の良かったともだちも、
いまどうしているのか知りません。
けれど、いい目に合ってればいいなぁと思います。
もう二度とことばを交わすことはなくても、
たのしく長生きしろよと思います。

一度の人生ですからと、
激しく燃え尽きるまで生きるのも一興ですが、
静かに、まわりをやさしく灯すように生きるのも、
また一興です。

年齢と肉体を恨まない限り、
歳をとるのは、きっと、たのしいことです。

イデトモタカ(2012年10月22日)