<それよりも大切なこと。>

ぼくのなかで「守破離」ということばは、
ずいぶんと大切な位置にあって、
実体験をふまえたうえで忘れちゃいけないなぁ
と思っております。
端的にいえば「基本が大事」なのですが、
きょうご一緒させていただいたある職人さんが
とても胸に深く落ちてくることばを言っていました。

彼はじぶん自身がずっと気をつけていることで、
部下をもつようになってからは、
若い職人さんに常々、それこそ聞き飽きるくらいに
言っていることがあるそうです。
それは「基礎もできていないのに効率のことを考えるな」
ということなのだと教えていただきました。

どんな業種にしても、必ず「基礎」と呼ばれるものが
なにかしらあるものです。
仕事におけるプロフェッショナルというのは、
ある意味でその業界で大事な基礎をどれだけきちんと
積み上げているかということでもあります。
着想やアイディアももちろん重要ですが、
それは基礎ができて以降の話であるはずです、本来は。

「基礎ができていないのに要領良くすることばかり
考えていると、結局なにもできない人になる」

これもその職人さんのことばなのですが、
ぼくもほんとにそうだなぁと、正直少しドキッとしました。
だからこそ彼は、若い職人さんなら多少要領が悪かろうと、
きちんと基礎が身につくような仕事をさせるそうです。
効率や要領について考えることは、言うまでもなく大切です。
けれど、それよりも大切なことがある。
ぼくらはそれを忘れてしまうことがあるのではないかしらん。
ああ、とても大切なことばを聞いたなぁと思いました。
そしてこの人の部下になった人たちは、
厳しいだろうけれど、やっぱり幸運だなと。

イデトモタカ(2013年8月20日)