<足りない状態で挑む。>

いつだって、今この瞬間の手札でもって、
勝負しなければならないのだ。
これは読書家にとっては、
越えなければならない一つの試練ともいえる。

読書家が経験する矛盾として、
読めば読むほど読んでいない本が増える、
ということがある。
本来なら、読んだだけ減るはずが、
反対に増えるのだ。
おかしなことに思えるけれど、
これは誰もが体感する事実といえる。

人生を変えるには行動しかない。
この一文の「人生」の部分を、
運命にしても結果にしても未来にしても
現状にしてもいい。
じぶん好みにすればいい。
重要なのは「行動」の方なのだから。
そこは他の文字にすることはできない。

読書はたしかに行動だ。
けれど、残念ながら、
人生を変えるほどの行動ではない、
と思っておいた方が気が楽になる。
読書だけでは必要なものには足りない、
それを了解していれば、悶える機会は減るはずだ。

もう少しあの本を読めば、
あるいは別のあの本を読了すれば、
はたまたあの本に目を通せば、
もっと、もっともっと、強くなれる。
戦いに有利になる。
けれどそれは誰にしても同じことなのだ。
誰しもがそう思いながら、願いながら、
ある意味で道半ばで戦場に赴いている。
そしてそこで勝つ人間、望んだものを
手に入れた人間もまた、途中で来た人なのである。

ただ、彼らはじぶんがまだ「足りていない」と
知りながらも、行動に出たから得たのである。
それだけは、疑いようのないことなのだ。
もう少し待てば、つまり、学べば、読めば、
もっと楽に有利になれるかもしれなくとも、
今、この瞬間の手札でもって戦えない人は、
いつまで経っても、何も得られない。

勝者は常に、足りない状態で挑んでいる。

その事実は、励みにならないだろうか。
あなたはそれでもまだ、待つだろうか。

イデトモタカ(2013年9月26日)