<恋人の昔の恋人。>

いまのじぶんの恋人の、昔の恋人たち。
そういう存在に対して、嫉妬してしまう。
話題にあがると不快で、嫌になってしまう。

ぼくにはそういった感情がないどころか
好きな人の好きだった人のことですから
むしろ積極的に聞きたかったりします。
思い出話というのは、たのしいですから。

けれど世間一般では、恋人の昔の恋人という存在は
ずいぶんと歓迎されないようですね。
ぼくの幼なじみの女の子のひとりが
あるときフランス人の男の子と付き合っていました。
フランス人の彼は、たまに昔の恋人との話を
なんともなしにしたそうです。
そのたびに、ぼくの幼なじみは悲しみました。

そこであるとき、幼なじみの女の子は言いました。
「あなたが昔好きだった人の話を聞くのは辛いわ」
すると、フランス人の男の子は
「わかった。もうしないよ、ごめんね」と謝りました。
女の子は訊きました。
「あなたは、私の昔の恋人のことが、嫌いじゃないの?」
その質問に、フランス人の彼は不思議そうに答えました。
「ぼくの大切な君を、大切にしていた人たちだろう?
むしろ、感謝しているよ」

彼の価値観が、フランス人として一般的なのか
それとも独特なものなのかはわかりませんけれど
とてもすてきな考えかただと思ったと
幼なじみの女の子はぼくに教えてくれました。

イデトモタカ(2014年2月3日)