<シシュクる。>

私淑ということばがあります。
「ししゅく」と読みます。
紳士淑女の淑(しゅく)で、
この文字は「良い(Good)」的な意味を持ちます。

 子は私(ひそ)かにこれを人よりうけて
 淑(よし)とするなり

という漢語で、直接に教えを受けてはいないけれども、
ひそかにその人を師と考えて尊敬し、
模範として学ぶこと(大辞泉)です。

「私淑」はあまり聞き慣れない熟語ですし、
日常会話では相手に通じない可能性の方が高いですが、
いいことばだなと思いました。

こそっと、勝手に誰かに弟子入りし、
非公式な師匠として学び、成長させてもらう。
そういう経験は、きっと誰しもにあって、
子どもから大人に、いいえ、大人であっても、
とても重要な態度に思われます。

それにはきちんと「私淑」ということばが存在し、
たった二文字で、しかもずいぶんと昔から
行われてきている人間の普遍的なものなのだと知って、
なんだか妙にうれしくなりました。

私淑、ぼくもそれはもうしております。
身近な相手だったり、一方的に知っている相手だったり、
雲の上の相手だったり。
本当に弟子入りする気はないし、できないけれども、
勝手に師匠にしてしまうことは可能です。

現代的には「モデリング」というのでしょうが、
ぼくは「私淑」ということばの放つ、
相手への敬意と謙虚な姿勢に好感を持ちます。
これからもいろんな人に私淑していきたいと思います。
はて、使い方としては、これで合っているのかしらん。

イデトモタカ(2016年4月16日)