<牛歩万歩。>

けっきょくぼくらは欲張りなのだ。
欲張りで、食い意地がきたなくて、
それで損をしているというのか、
失敗してしまっているのだ。
多くを食べずに捨ててしまうのだ。

あれがしたい、これがしたい、
もっとしたい、もっともっとしたい。
そういう思いが強いほど、
長い目で見たときに悲しいほど
あれもこれもそれも、手を付けられず、
思った以上になにもできず、
時間だけが去っていってしまうのだ。

たとえばここに本がある。
分厚い、読み応えのある本だ。
ページ数は300になる。
ずいぶんと専門性の高い本だから、
苦労するだろうけれど、読了したなら、
達成感とともに重大な知識を得ているはずだ。

よし、読んでやろうと計画を立てたとして、
仮に一日1ページ読むというのなら、
あなたの鼻息の荒さはおさまらないかもしれない。
たった1ページなんて、くだらない、
と馬鹿にするかもしれない。
それでも、一年後には確実に読み終わっている。

一日に10ページならどうだろうか。
これなら一ヶ月で読み終わる。
それでもやる気のあるあなたは、
どうにも物足りない気がするかもしれない。
いいや、おれは、わたしは、一日に2時間読もう、
土日には6時間だって読んでみせよう。
そう意気込むかもしれない。
けれどぼくは、それを成し得たことがない。

毎日10ページで十分なのだ。
むしろそれ以上は読み過ぎだ。
できる人はもっと進んでいけばいい。
ただ、じぶんをできる人だと思わないことも、
人生では重要な智恵だとぼくには思われる。

くだらない日々を繰り返しながら、少しずつ前進。

イデトモタカ(2016年8月22日)