<人生を押す。>

前に、前に、進んでいるという、
実感が希望になって、慰めになる。
辛いのは、なにかばたばたと、
縛られたり、急かされたり、
やらなければいけないことに
振り回されているのに、
ちっとも前進している気がしないときだ。
こんなに苦痛なことはない。

仕事でのストレスは、
前に進んでいる実感や、喜びを、
感じられずにひたすらやることだ。
これをしてどうなるのだろうか、
これでなにかが「進む」のだろうか。
そんな疑問が頭にわいてくると、
ぼくなんぞはずいぶんとまいってしまう。

趣味や、勉強や、その他どんなことでもいい。
人生のなかで、生活や毎日のなかで、
どれか一つでも「前に進む」ものを
じぶんなりに用意して、1センチでも進めることは、
ぼくは精神的な安定を保ついい方法だと思う。

小説を10ページ読み進めるだとか、
きちんと記録をしながら筋トレをするだとか、
いらないものを5個捨てるだとかでもいい。
なかの見える貯金箱に500円玉を貯めるのでも、
観たい映画リストの映画を30分観るのでも。

なんだっていいから、前に押すのだ。
人生を、前に前に。
勘違いしないでほしいのは、
なにもぼくは「いいこと」をいいたいわけじゃない。
人生の意味は成長だとか、じぶんを高めろだとか、
そういう高尚な話ではなくて、ただ実感として
「前進」を感じられない日々が積もっていくと、
精神が知らず知らずに病んできたり崩れてくる。

そうじゃない人もいるのかもしれないけれど、
おそらくぼくに似た人もいると思う。
なんでもいいから前に押してほしい。
ぼくもそうする。
こころの健康管理をないがしろにすると、
ほんとに、やっかいだから。
だからどうだろう、今晩はあの本やあの小説を、
10ページだけ読んでから眠るのは。

イデトモタカ(2016年11月5日)