<親が苦手。>

学生だったころ、なんとなく父親が苦手で、
控えめにいってもあまり好きではありませんでした。
そんな折、どういう理由だったか、
作家のひすいこたろうさんとタクシーのなかで話をしていて、
彼もそうだったというのを聞きました。
でもあるきっかけから、認められるようになり、
今では尊敬しているし大好きだと。

そのきっかけというのは、ひすいさんがある人に、
じぶんの「いいところ」はどこだと思いますかという
質問をされて、気恥ずかしいながらに考えたそうです。
そして、いくつかの、これは我ながら長所ではないか、
自信をもって「いい」と思える部分ではないか、
というポイントを挙げてみたそうです。

するとその相手に、わたしもそうだと思います。
それがひすいさんのいいところだと思います。
でもそれはみんな、ひすいさんのお父さんの、
いいところなんじゃないですか、と言われたそうです。
そしてびっくりしたと。
まさにそのとおりだったから。

その話を聞いて、ぼくもはっとしました。
じぶんのいいところ。

ストイックなところ。
好きなものに対する探究心。
じぶんを高めたいという向上心があるところ。
家族を大事にしたいと思うところ。
面白い、楽しい人でいたいと心がけているところ。

じぶんで答えるのはなかなか恥ずかしいものもありますが、
けれど、これらはみんなみんな、父親の美点です。
ぼくが父親を客観的にみて、尊敬できる部分です。
そうか、やっぱりぼくはお父さんの子なのだ、
と思いました。

家族のことが、とりわけ両親のこと、そのどちらかを
苦手と感じている人はきっと少なくないでしょう。
でもよかったら、一度考えてみてください。
あなたのいいところ。
そして、あなたの苦手とする親の、いいところ。
もしかすると、きっちりいい部分を
受け継いでいるかもしれません。
人が人を育てるというのは、そういうものかもしれません。

イデトモタカ(2016年12月8日)