<資質や才能。>

プログラマーに向いているのは
どんな資質の人かと訊かれたとき、
「パソコンの前にずっと座っていられる人」
と答えた著名な経営者の人がいた。
これはまさに卓見で、それ以外にはないほどの
模範解答だとぼくは思った。

資質や才能の話は面倒だからあまりしなくなったけど、
この「答え」はどこでだって役に立ちそうだ。
本を書くのに向いている人は、原稿用紙や
ワード画面を前にして、ずっと座っていられる人だし、
音楽の才能がある人は、楽器を一日中持っていたり、
触っていたりできる人だ(他の誰よりも)。

だからぼくに旅人の才能はない。
できれば家にいたいから。
サッカー選手の才能もない。
ボールを蹴っていたくないから。
ああ、塗り絵の才能もない。
すぐに飽きてしまうから。

なにかをするときは、他のなにかを犠牲にする。
なにかができる人は、他のなにかができないかもしれない。
できることに集中するのが幸せだと思う。
できることに集中することで、ぼくらはぼくらの、
生きる輪を大きくできる。

あの人に期待してもだめなのだ。
別のあの人もきっと期待には応えてくれない。
誰もぼくらを満足させるために生きていないのだから。
瞬間的にそういうことはあっても、永遠ではない。

ぼくは(ぼくらは)常になにかを誰かに期待し過ぎる。
そんなことより、なにならずっとしていられるか。
どこにならずっと座っていられるか。
あるいは動き回っていられるか。
なにかを忘れたいのなら、忘れられるほど集中して。

イデトモタカ(2017年4月15日)