no.1 『悪人正機』 著:吉本隆明/糸井重里(1) cart

一 節

生きる価値みたいなものを探すのが
おもしろいという人は、それを探せばいいんだし、
それよりもっとおもしろいことがあるんだったら、
探すのを止めても構わないんじゃないでしょうか。

感想文

この少し前の文章で吉本さんは
「生きる価値はどこにあるのか、何で価値があるのか、
 そんなことはわからないですよね。
 そんなものはないし、あるぞ、みたいに言うのは、
 逆におかしいんじゃないかと思いますね。」
というようなことを書かれています。

それをはじめて読んだときの衝撃は、
いまでもよく覚えています。
すごいことをいう人がいるものだなぁ、
と驚くとともに、感動しました。

ぼくはこのことばの影響を色濃くうけていますので、
おなじように、なぜ生きるのか、じぶんの役割は、
なんて考えて悩んで、ということが好きなら、
それはそれで構わないと思いますが、
そんなことより音楽がたのしい、バイクが好き、
お菓子を焼いてるときが幸せ、という人がいれば、
ぼくはそっちの方々を「いいぞ!」と称賛します。

じぶん探しや使命というものの探求は、
高級なことをしているように見えますし、思えてきます。
だからといって、そういうことは眼中になく、
ただなにかに熱中しているという人を、
蔑んだ目で見るのは絶対に正しいことではないと思います。
実際には、そっちの、じぶんのおもしろいことを知っていて、
夢中になってそれに没頭して生きている人のほうが、
何かじぶんには使命が、生まれてきた意味があるはずなんだ、
と躍起になってふらふらしている人よりも、
ぼくはずいぶんいい生き方なんじゃないかという気がします。

もちろん、じぶんの使命や生まれてきた意味、
人生の価値というものを、じぶんなりに納得して、
それをまっとうしようという人を否定しませんし、
それはそれで素晴らしいと思います。
ただ、いまのぼくにはそういう感覚はないので、
とりあえず、生きていることを忘れるくらいに、
たのしい、おもしろいことに夢中になっていたいと思います。

イデトモタカ(2013年2月24日)

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