no.17 『良い戦略、悪い戦略』 著:リチャード・P・ルメルト(1) cart

一 節

あることにだけ集中する、
すなわち最重要課題に優先的に取り組むためには、
他の重要なことがクリアできていなければならない。

感想文

これはとても耳が痛い箴言です。
作家を志している人なら、
なによりもまず原稿を書くことが重要ですし、
外国語をマスターしたいと思っている人にとっては、
その言語の勉強をどれだけできるかが鍵です。
じぶんの唄う歌で人々に元気を与えたいのなら、
そのために必要な技量を磨かなければなりません。

けれど、それらじぶんの人生にとって大切なものに
優先的に、全力で取り組むことは、
実生活上そうかんたんではないことは、
たぶんあなたも身を持ってご存知なのではないかしらん。
そうするためには、いろいろな生きる上での柱が
しっかり立っていなければできません。

恋人やパートナーとの仲が良くなければ、
そこに大きな時間を使わなければいけないかもしれないし、
明日食べられるかどうか、というような困窮した状態なら、
まずはお金を得ることや生活の安定のために
注力することになるでしょう。
それはいくらじぶんがじぶんの人生にとって重要なこと、
原稿を書くや語学を学ぶや歌の練習をすることへの
情熱があったとしても、やる気が満々だったとしても、
集中しようにもできません。

ぼくにしてもそういうことは、充分によくわかります。
実際にたくさん経験したと思います。
そしてそれは、とても苦いことでした。
文章を書きたい、最優先に、何も気にせず。
でも支払いがある、差し迫った解決すべき問題がある、
そうなると、もちろん集中して、あるいは他を後にして
書けるわけがありません。
それはもはや逃避です。
それでもぼくの場合は、ごまかしごまかし、
やってきた部分はありますが、
それでも「優先的に」とはいえませんでした。

真の芸術家とは、ただ衝動によって、
他のことなど一切気にせずに、それを行うものなのだ。
そんな意見もあるのかもしれないですが、
誰もがそこまでストイックに生きているわけでも
ありませんからね。
それならば、まず凡人のすることは、
まずじぶんの「最重要課題」を明確にして、
それに優先的に取り組むためにクリアすべき
「他の重要なこと」は何なのかを知り、その解決に努める、
ということになりそうです。

どんなに才能のある人でも、
その才能を「優先的に」「集中して」発揮するための
舞台が整っていなければ、それは叶わないのだということを、
あらためて確認しました。
ではみなさん、グッドラックです。

イデトモタカ(2013年8月1日)

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