no.30 『芸術起業論』 著:村上隆(1) cart

一 節

芸術家になる根拠の濃度を高めれば、
やりたいことがはっきりします。

感想文

次の人に求められるのは、
今の人を過去の人にすることだ。
それこそが、技術でも、経験でも、深さでも勝てない
新人の唯一のつとめなのだ。

次の人、すなわち新人になる方法は、
業界が違ってもそれほど多くは違わない。
定石を学び、歴史を辿り、そしてそこにじぶんの業を、
つまりじぶん固有のニュースを発信することだ。

時代の波を読むことはできない。
だから、じぶんがその先頭に立ち、
大きな旗を振らなければならないのだ。

けれど、過去に学び、過去を学び、
未来を予測し得たとしても、
そもそもじぶんがそれをする根拠が希薄なら、
次の道を示すことはできない。

何がほしいのか。
なぜ、それがほしいのか。
何をしたいのか。
なぜ、それをしたいのか。
何になりたいのか。
なぜ、それになりたいのか。

それは、業界ではなく、じぶんのなかにだけある。
じぶんのなかの定石を学び、歴史を辿り、
そしてそこにじぶんの業を、
つまりじぶん固有のニュースを発見するしかない。

感じ、耳を傾けて、それを発酵させる。
ぎゅっと凝縮させていく。
奥の奥の奥、深く深く深くまで探求し、
その濃度を高めていく。

つまり、外に対しても、内に対しても、
やるべきことは同じで、与えられた課題は同一で、
それを見事に成し得た人たちが、
そのときにいた人たちを、
過去の人に変え、新しい時代を創り上げたのだ。
そして、あなたのような、次の新しい人に
負けないように、進化をつづけているのだ。

ぼくに、あなたに、できることは、求められていることは、
彼らに敬意を持って、彼らを過去の人にすることだ。
バトンをつなぐのだ。

イデトモタカ(2013年12月23日)

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