ESSAY
本に書かなかったこと。
2023-05-29
今思うと、前に出した本で、書くべきだったなあと思うことがあります。それは「役得」についてです。「贔屓(ひいき)」と言い換えることもできるかもしれません。
フリーランスに関する本でしたが、フリーランスはもちろん、そうでない人たち全員にとって、つまるところ、「いい思い」をしようと願うなら、役得なり贔屓なりを大小の差はあれど得られなければ難しいのではないかと思っています。とてもデリケートな話ですが事実です。
オタキングこと岡田斗司夫さんは、2018年出版の『ユーチューバーが消滅する未来──2028年の世界を見抜く』という本のなかで次のように書いています。
“あなたを評価してくれるのは、特定の「人」。その「人」がいない限り、報酬も役得も得られないのです。”
この主張に僕は100パーセント同意します。運は人が運んでくる、なんて言葉がありますが、あまりに控え目な表現です。運だけではありません。あらゆる価値のあるものは、すべて人が運んできます。人から人へと与えられるものです。
仕事でいい思いをするには、割りのいい仕事をあなたに与えてくれる人の存在が不可欠です。そしてそういう人は、あなたを評価してくれている人です。他の人よりも割増で、ではありません。他の人は気づいていない部分に、です。
だからただ顔が可愛いとか、お世辞が上手いとか、そうした本来仕事に求められる実力と無関係な部分で贔屓されても仕方ありません。そういう話ではないのです。
あくまでも、僕やあなたが能力として高めてきたものを、きちんと評価して、有用だと「買って」くれている人でなければなりません。人生がどれだけ快適なものになるのかは、そうした自分を評価してくれる人が適度に存在し、彼ら/彼女らとの関係の質によって決定されます。
とても大事なことです。だからといって近道はありません。地道に日々実力を高め、磨き、価値を発揮していくなかで、ときどき見つけてもらえるだけです。
では、また書きます。
そうした人たちとの時間の重みはまるで違います。
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イデトモタカの言葉の再定義
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辞書は「自分用」にはできていません。辞書を引けば言葉の一般的な意味はわかります。けれど、実際に「使える道具」として、新たな価値を生み出すためには、その言葉を磨き再定義する必要があります。ここでは僕が使いやすいように解釈、咀嚼し、再定義した言葉を紹介していきます。
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イデ トモタカ Ide Tomotaka
著述家、コピーライター
大学在学中からビジネスを行い、一度も就職することなくコピーライターとして独立。DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)の世界に没頭し、26歳のとき広告費10万円で7億円を売り上げる。現在は大企業を中心にインターナル・メッセージの制作、教育プログラムの開発を担う。UXを動画や身近な事例で解説する専門メディア「UXジャーナル」のメイン編集を務める。2010年、Numero TOKYO×Loewe「ロエベ・レザースタイリングコンテスト」男子部門優勝。株式会社letter 代表取締役。2023年3月、ぱる出版より『フリーランスで「超」成果を上げる プロジェクトワーカーとしての働き方』を上梓。
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