サヨナラと、エッセイだけが、人生だ。

  1. 800文字

熱の差

プロフェッショナルと一般人の差は「熱」なのだ。とぼくは仮説を立てている。というのも、思い当たる節がいくつもあるのだ。まず美容院について。髪を切ってもらって、ドライヤーで乾かしてもらって、セットしてもらう。あなたが坊主でない限り共感してもらえるだろうけれど、とりわけうまくやってもらえたときほど、家での再現率が低くなる。おなじようにはセットできないものだ。どうしてか。「ブロー(ドライヤーでの乾燥)」に圧倒的な技術差があるからだ。

「ブロー」は熱によってセットの土台をつくる。髪型のほとんどはここで決まっているらしい。おなじような話はいくらでもある。ぼくは洋裁をやっていたけれど、特にジャケットやシャツなんかの立体的なフォルムを重視するアイテムほど、アイロンワークで驚くほどの差が生まれる。一流と呼ばれるブランドと、ふつうの服との違いは、生地よりもこの「アイロン」という熱の扱いの差が大きいことは、経験上間違いない。

料理やお菓子(チョコレート)でもそうだ。温度(熱)にどれだけこだわって、ものにできるかで出来がまるで違ってくる。もっと単純なお米を炊くということにしたって、熱のちょっとした差で、味がまるでかわる。探せば他にも山ほどこんな例はあるはずだ。ぼくらは原始の時代から「火」という「熱」を扱い、文明を発展させてきた。「熱」をうまく利用することで、鉄を加工したり、汽車を走らせたり、ついには空まで飛んだ。

話を日常に戻すと、人間にはいろいろな種類があるけれど、だからといって羽がはえている人も、身長が十メートルもある人も、水中で呼吸ができる人もいない。基本的なスペックに大差はないのだ。それだのに、一流と呼ばれる成果をだす人と、そうでないふつうの人とがいる。この差もやはりぼくは「熱」なのではないかと睨んでいる。つまり、生きる「熱」の扱いの差ではなかろうかと。誰しも「熱」はある。問題はそれを使うかだ。(800文字)

では、また書きます。

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