ESSAY

2011-07-30

ネガポジの魅力。

ぼくは「美しい不自然さ」というものに、かねてから興味があります。不協和の魅力、といいますか、順当でない流れに、ふと、目が輝きます。

たとえば、ことばなら、ぼくがネガポジ表現と呼んでいるものがあります。ポジティブなことばに、ネガティブな形容詞をつけて、ポジティブの魅力を斜めに増加させる。……という高等技術です。

例をあげます。

「いつもおもしろいよね。」という、いたってノーマルな表現も、「いちいちおもしろいよね。」という、わずかにネガティブなスパイスに加えると、(ぼくのなかで)ことばの価値がぐんっと上がります。

他にも、ちょっと長いですが、「生まれ変わっても、きっときみのこと、好きになっちゃうと思う。」というメルヘンな一節も、「生まれ変わっても、どうせきみのこと、好きになっちゃうと思う。」というネガポジ表現にすると、ぐっとくる感が倍増しません?(ぼくだけ?)

ミロのヴィーナスは、とても美しいですが、腕がないというネガティブさがそれを、実は引き立たせているのだと思うのです。サモトラケのニケは、とても神々しいですが、首がないというネガティブさがそれを、さらに強調させているのだと思うのです。

プラスのことばっかりじゃない。むしろ、マイナスが先にあるからこそ、結果としてのプラスに、さらに光をあてるような気がします。

人生も、きっとマイナスだった出来事が、よくないネガティブな過去や経験が、あなたという人間を他のプラスの出来事以上に、魅力的に映すのだと感じます。

イデトモタカ