ESSAY

2012-01-03

わたし、あたまわるいから。

「わたし、あたまわるいから。」

話をしていると、よく、申し訳なさそうにそういう女の子がいました。でもね、その子はぜんぜん、あたまわるくなんてないんです。むしろ、ぼくよりもいっとう、じぶんの価値観で色んなことに対してしっかりした意見や考えかたを持っていて、すごいなぁと思うくらいです。

だからぼくはその女の子にいいました。「どうしてそんなこというの?」と。そして、「きみはあたまわるくなんてないよ。その思い込みは、なにか役に立つの?」と訊きました。

それをいったぼくとしては、てっきり「そうだね。」くらいの、軽い返事があるものだと思ってました。けれどその子は、ぼくのこのいぢわるな質問に、すんなりこう答えたのでした。

「人って、ついじぶんの意見がいちばん正しいと思っちゃうところがあるからさ、いまじぶんが話してること、考えてることは、間違ってるかもしれないってことを忘れないように『わたしはあたまがわるい』って思うようにしてるの。そうしたら、あたまがわるいんだから、相手の意見もしっかり聞かないとって思うの。」

そのことばを聞いたぼくは、もう、ずどーんって感じでした。一気に冷めて、じぶんのことが愚鈍に思えました。そうなんですよね、人って、ぼくって、ほんとに、結局は「じぶんの考えてること」が、いちばん正しくて、合ってて、つまりわかってて、周りに対して「わかってない」と思うのでした。

アドバイスを素直に受けとめて、じぶんよりもすごい人間を、素直にすごいと認めて、その知識を、技を、生きかたを学び、盗める人の成長のスピードは、そうじゃない人のそれとは比較にならないくらい、とてつもないのだろうなぁと思います。

その女の子と話をしていて、ぼくもそういうものになりたいなぁと思いました。

イデトモタカ