ESSAY

2012-01-21

否定待ち。

否定されることを前提とした質問を、人はしてしまうことがあります。これを「否定待ち」と呼ぶことにしてみます。例えば気になってる女の子がいたとして、その子が「今日、パジャマ買ってもらったんだ」というと、「彼氏さんに?」なんてね、つまんない返しをしたりするんです(男ってやつは)。

例えば気になってる男の人がいたとして、その人が「昨日、おもしろい映画観てさ」というと、「彼女さんと?」なんてね、悲劇を誘うことをいっちゃうんです(女ってやつは)。

そんなこと、思ってるわけじゃない。そんな話を、聞きたいわけじゃない。否定して、否定して、否定してほしい。「そんなわけないじゃん」って、いってほしい。そのことばで「なにか」を確かめたい。だから、人はついつい、いっちゃうんだ。だから、人はついつい、きいちゃうんだ。全力で否定してほしい質問を。

けれどそれは、あまりほめられたことではないと思うのです。なかなかいい結果にはならないと思うのです。むしろたいていは、質問したじぶんも、その台詞を聞いた相手も、いい気分にならずに空気が澱んでしまいます。へたすると互いに凹んでしぼんでしまいます。

けれど若いときはさ(今でも若いんだけど)、なんでかね、そういうことをするんだなぁ。おもしろいと思ってるのか、なんなのか、でも実はちっともおもしろくなんてないんだぜ。イケテルのはじぶんだけだと思ってる、中学生のファッションみたいなもんなんだ。

だから「やめとけよ」っていっておきたい。君より少しだけ長く生きてる先輩として、あなたを想う健気で素直な後輩として、そして毎日を一生懸命過してる同世代の仲間としてさ。「否定待ち」なんてことをしたってさ、やって来るのは良くて現状、たいてい悲劇なもんなんだ。ふつうでいいから、仲良くやろうよ、ぼくよ、あなたよ。そんなことを、ふと思ったきょうなのでした。

イデトモタカ