ESSAY

2012-05-09

価値観と感性。

人と人が別れる理由。そのいちばんは、「価値観の違い」なのだそうです。と、あらためてそう発表したところで、とりわけ驚きも、なるほどもなく、ただ黙って首肯されることだと思います。けれど、では、この「価値観」とはなんなのかしらん。そう訊ねられたなら、ぼくはすぱっと気もちのいい明瞭な答えを持ち合わせてはいないのでした。

ある女の人がこういいました。

わたし、価値観というものは、違ったほうがたのしいじゃないと思っていたの。いろいろなことに気づけるじゃないって。世界が広がるじゃないって、そうね、思っていたの。でも、いまはやっぱり、価値観が合っていることはとても大切だと思う。「価値観」って、つまり、時間とお金のつかい方だと思ったの。それは「生き方」や「人生の美意識」のようなものだから、合っていないとケンカになっちゃう。だから、わたしのいっていた、「違ったほうがたのしい」ものっていうのは、価値観ではなくて、「感性」だったのよ。感性はね、違っていいの。違ったほうが、たのしいの。すてきなの。

それを聞いたぼくは、まったくそうだなぁと感心しました。価値観というものの定義は、人それぞれでいいと思うのですけれど、ぼくは彼女の「時間とお金のつかい方」という定義をいっとう気に入りました。

長く一緒に暮らしていくなら、価値観は似ているほうがいい。けれど、感性は違ったほうがたのしんです。ぼくも、そう思います。

イデトモタカ