ESSAY

2012-06-30

恋愛と恋と。

恋愛はひとりではできないけれど、恋ならひとりでもできる。はじめるのも、終わらせるのも、じぶんひとりで完結できる。

乙女は失恋すると、大切な髪を切るという。けれど、これは少しおかしい。恋ごころはじぶんひとりのものだから、終わらせる、ということはできても、失う、というようなものではもとよりないのではなかろうか。

仮に告白をして、フラれたのだとしても、その恋を失くしてしまうのかどうかは、じぶんで決めることなのだ。たんに、恋が恋愛へと成就しなかっただけ、ただそれだけで、失ったわけではない。

本当の失恋とは、気づいたらいつの間にか、あの愛しい感情を思い出せない、あの切ない情動が抱けない、かつてもっていたはずの恋ごころが、知らぬうちに、じぶんの意思とは無関係に、どこかへいってしまって帰ってこない。そういうものをいうのではなかろうか。

恋は自由なものだ。手に入れた瞬間に、あなたのものだ。それがいつか、雲散霧消するまでの間はずっと。

恋は自由なものだ。手に入れたそれを、手放すのもあなただ。けれどそれは失恋ではない。あえて名付けるとするならば、放恋(ほうれん)や、離恋(りれん)や、諦恋(ていれん)なのである。

恋は自由なものだ。恋ごころは、ずっとあなたのものなのだ。

イデトモタカ