ESSAY

2012-07-15

ノット・エレガントのすすめ。

ある歯みがき粉工場でのお話。チューブに中身をつめて、それを箱に入れて、最後に透明の袋にラッピングをして、完成品をダンボールに詰めていきます。その工程のなかで人の手がふれるところもありますが、ほとんどは機械のお仕事でした。

けれど、この歯みがき粉工場には一つとても大きな問題がありました。何百個かに数個の割合で、どうしても箱詰めのミスが起きて、空箱のまま出荷されてしまうものがあったのです。それ以外は完璧なのに、この問題だけがずっと解決できずにいました。

あるとき、スーツを着た工場のお偉いさんたちが、むずかしい顔をして長い会議をしていました。いよいよこの問題と向き合おうとしたのです。そこで偉い人たちは、いろいろな意見を出しました。

箱詰めする前に、人の手で確かめよう! いやいや、人の手では間に合わないだろう。じゃあ、ラインを遅くしよう! それじゃ予定個数を出荷できなくなってしまう。うーん、だったら……。

最終的に会議では、もう新しい機械を導入するか、これまでの機械に新しいプログラムを入れるかで、どちらにせよ数千万円以上もの投資が必要でした。でも、仕方がない。そう思っていました。

そう思っていた矢先に、会議室に工場長が入ってきていいました。「すみません、あの、空箱の問題ですが、もう解決したんで大丈夫です。」

……へ?

「いや、あの、解決しました。」

……どうやって?

「パートのおばちゃんが思いついたんですけど、箱詰めして、ダンボールに入れるコンベアーの間に、大っきい扇風機を置いたらら、空箱だけ軽くて飛んでっちゃいました。」

……まぢで。

こういうことって、実は、けっこうあるんだろうなぁと思うのです。ぼくらはついつい、特に地位が位が上がると、問題を複雑に捉えてしまいがちです。あるいは、かっこよく、エレガントに解決しなければと思ってしまいがちです。でも、扇風機で解決できたりするんだなー。

ぼくはいつまでも、そういう発想のできる人でありたいなぁと思います。

イデトモタカ