ESSAY

2012-07-20

嘘つかせ。

嘘は好きですか?(たぶん、そうじゃないと思います。)
嘘をつく人は好きですか?(たぶん、そうじゃないと思います。)
嘘をつかれるのは好きですか?(たぶん、そうじゃないと思います。)

じぶんが相手に嘘をつかせていると考えたことはありますか?(たぶん、そうじゃないと思います。)

ぼくはつい最近、はじめてそういうことを考えました。嘘をつく方を責めるのは簡単ですが、なぜ嘘をつかなければいけなかったのかを慮ることは、あまり容易くはないものです。

なぜ目の前のこの人は、じぶんに嘘をいわなければいけなかったのか。この問いに対して、「なにか後ろめたいことがあるからでしょう」というのは、いわば正論でして、印籠のようにそのことばを掲げられてしまうと、もう思考停止になってしまいます。だから、もう一段回相手に対して、やさしくなってみようと思います。「後ろめたいことがあったとして、どうしてそれをじぶんに正直に告白することができなかったのかしらん」そういうふうに、自問してみます。すると、色んなことが出てきます。

怒られると思ったのだろうか。嫌われると思ったのだろうか。馬鹿にされると思ったのだろうか。勘違いされると思ったのだろうか。受け容れてもらえないと思ったのだろうか。

もしそうだとしたら、そういうふうに見えているじぶんが、相手に嘘をつかせたような気がします。

逆にしてもおなじことで、怒られる、嫌われる、馬鹿にされる、勘違いされる、決して受け容れられないという感情があったなら、やはりじぶんもつい嘘をついてしまうと思います。けれど一方で、どうしたって絶対に、なにをいったところで深く深く、愛情をもって真摯に受け容れてもらえるという確信があったなら、その礎があったなら、互いにとって「嘘」は必要なくなるのだと思います。

これから相手が嘘をいっていると思ったら、じぶんが相手に嘘をいわせてしまっている、と一度思ってみたいと思います。それでなにが変わるか変らないのかはわかりませんが、そういうことをしてみたいと思います。

イデトモタカ