ESSAY

2013-09-26

足りない状態で挑む。

いつだって、今この瞬間の手札でもって、勝負しなければならないのだ。これは読書家にとっては、越えなければならない一つの試練ともいえる。

読書家が経験する矛盾として、読めば読むほど読んでいない本が増える、ということがある。本来なら、読んだだけ減るはずが、反対に増えるのだ。おかしなことに思えるけれど、これは誰もが体感する事実といえる。

人生を変えるには行動しかない。この一文の「人生」の部分を、運命にしても結果にしても未来にしても現状にしてもいい。じぶん好みにすればいい。重要なのは「行動」の方なのだから。そこは他の文字にすることはできない。

読書はたしかに行動だ。けれど、残念ながら、人生を変えるほどの行動ではない、と思っておいた方が気が楽になる。読書だけでは必要なものには足りない、それを了解していれば、悶える機会は減るはずだ。

もう少しあの本を読めば、あるいは別のあの本を読了すれば、はたまたあの本に目を通せば、もっと、もっともっと、強くなれる。戦いに有利になる。けれどそれは誰にしても同じことなのだ。誰しもがそう思いながら、願いながら、ある意味で道半ばで戦場に赴いている。そしてそこで勝つ人間、望んだものを手に入れた人間もまた、途中で来た人なのである。

ただ、彼らはじぶんがまだ「足りていない」と知りながらも、行動に出たから得たのである。それだけは、疑いようのないことなのだ。もう少し待てば、つまり、学べば、読めば、もっと楽に有利になれるかもしれなくとも、今、この瞬間の手札でもって戦えない人は、いつまで経っても、何も得られない。

勝者は常に、足りない状態で挑んでいる。

その事実は、励みにならないだろうか。あなたはそれでもまだ、待つだろうか。

イデトモタカ