ESSAY

2013-11-06

事実だけでは足りない。

事実だけでは足りないのだ。それを学ぶのに、ぼくはずいぶんと遠回りをして、長い時間がかかってしまったような気がします。じぶんの専門としている分野や、こういった物を書くということにおいても、結論というか、事実だけを早く知りたくて、ぼくとしても、それだけ伝えられればいいと相当な期間思っていたのですけれど、どうも、そうじゃないみたいです。比喩や喩え話というものは、ぼくがとらえている以上にもっとずっと、重要なものなのだということがようやく僅かばかりわかってきました。

一応ぼくが専門とさせていただいている広告という分野においては、広告を目にする人の頭のなかで、その商品やサービスを使用している動画をいかに鮮明に(魅力的に)上映することができるか、ということが非常に大きなテーマとなります。それはつまり、すべての人はその商品やサービスを、実際に使う前にまず、頭のなかで使う、という信念にもとづいています。そして、そういった勉強を深めていくにつれて、ぼくは極めてそこに意識が向いていなかったということに気づいていきました。

一時期、集中的に速読というものについて学んでいたことがありました。そのとき学習した速読の基本精神としては、本を小説やマンガのように初めから終りまで「読む」のではなく、辞書やグーグルのように、じぶんにとって必要な情報だけを「引く」、ということでした。この思想から得られた利点もたくさんありましたが、その一方で「事実だけ知れればいい」という、その後ぼくの足を引っ張る不利益な思想もまた、未熟さゆえに得てしまっていたようでした。

少しかたい話になってしまってますね、ごめんなさい。要するに何がいいたいのかといえば、書くにせよ話すにせよ、文学にせよ広告にせよ、重要なことは「人のこころを動かすこと」であり、それには「事実だけでは足りない」ということに、ぼくはようやく気づいてきました、という発見の報告です。そしてこの確信が、一つでもあなたの人生で役に立てばなと思ったのでした。

人のこころを動かす、これは誰にとっても、大きなテーマなのではないかと思いますから。

イデトモタカ