ESSAY

2013-11-09

人脈とは。

人脈は「抽斗(ひきだし)」であって、利用しちゃいけない。

このことばに、ぼくはどどーんっと衝撃を受けました。それはつまるところ、恥ずかしながらぼくには、人脈を利用しようとしていた感覚があったのだ、認めていたのだということです。反対に、利用されているという感じも、持っていたのだと思います。だからこそ、人脈を利用しようと思ってはいけないぞという忠告に、ひどくこころを打たれたのでした。

人脈って、なんですか?

ひじょうにおおざっぱな質問なのですが、とても気になったので、ぼくが近頃ずっといろんなことを教えてもらっている、勝手に「二人目のオヤジ」と慕っている人に、訊いてみたのです。そうしたら、冒頭の一言が返ってきました。

その人はとても立派な会社を二回倒産させていて、それも毎年増収増益の黒字で潰しているので、わけがわからないのですが、今三つ目の会社を立ち上げて、それがみるみるうちに大きく太くなっている様子を、ぼくは間近で少しばかりお手伝いさせていただきながら見せてもらっています。その景色を眺めていて驚くのは、日本だけでなく、韓国や中国にも、その人の協力者というのか、応援者がたくさんいることです。

今年の九月に一度、一緒に中国に行ったときには、天津の空港に現地の仲間の方が車で迎えに来てくれていて、滞在した六日間のうちに、ぼくら日本組が財布を開くことは一度もありませんでした。きっと、反対のとき、彼らが日本に来たときには、同じことをしているのだとすぐにわかりました。

きっとお互いにそうやって、互いの抽斗に対して入れたり出させてもらったりを繰り返しているからこその、信頼関係で、困ったときに支えあう血の通った人脈なのだと思いました。

抽斗というものは、出しっぱなしにはしないですもんね。入れて、仕舞っておくことと、仕舞っておいたからこそ、出すものです。なので今回はあえて「引き出し」と書かずに、古い表現ですが「抽斗」としました。「引き出し」だと、出すばっかりの印象ですから。

抽斗ですから、出させてもらうことは悪いことじゃない、でも、入れることも大事な役割です。相手を「利用しよう」と思うことと、「抽斗」だと思うことは、似ているようで、まったく違うものなのでした。そういうほんとに大事なことを、教えてくれるオトナが近くにいることは、まったく、ありがたいです。

イデトモタカ