ESSAY

2014-02-03

恋人の昔の恋人。

いまのじぶんの恋人の、昔の恋人たち。そういう存在に対して、嫉妬してしまう。話題にあがると不快で、嫌になってしまう。

ぼくにはそういった感情がないどころか、好きな人の好きだった人のことですから、むしろ積極的に聞きたかったりします。思い出話というのは、たのしいですから。

けれど世間一般では、恋人の昔の恋人という存在は、ずいぶんと歓迎されないようですね。ぼくの幼なじみの女の子のひとりが、あるときフランス人の男の子と付き合っていました。フランス人の彼は、たまに昔の恋人との話を、なんともなしにしたそうです。そのたびに、ぼくの幼なじみは悲しみました。

そこであるとき、幼なじみの女の子は言いました。「あなたが昔好きだった人の話を聞くのは辛いわ」すると、フランス人の男の子は「わかった。もうしないよ、ごめんね」と謝りました。女の子は訊きました。「あなたは、私の昔の恋人のことが、嫌いじゃないの?」その質問に、フランス人の彼は不思議そうに答えました。「ぼくの大切な君を、大切にしていた人たちだろう? むしろ、感謝しているよ」

彼の価値観が、フランス人として一般的なのか、それとも独特なものなのかはわかりませんけれど、とてもすてきな考えかただと思ったと、幼なじみの女の子はぼくに教えてくれました。

イデトモタカ