ESSAY

2014-05-23

大切にするから大切。

大切にしているうちに、大切になる。愛をそそいでいるうちに、愛おしくなる。

だから、はじめから、大切にできそうにないものは、手にしない。愛をそそげそうにないものは、持たない。それが、互いにとっていいことです。

大切にすればするほど、大切になる。愛をそそげばそそぐほど、愛おしくなる。

だから、はじめから、大切にできそうだというものを、探す。愛をそそげそうだというものを、求める。それが、こころに健康な生きかたです。

とても気に入って、とても喜んで買ったもの。日々の手入れも怠らない。そういうものなら、共に過しているうちについてしまった傷も、時間による劣化も、まるごと受け容れていけるはずです。むしろ、それが味なのだと、歴史なのだと、より大切に、より愛おしくなるものです。

けれど、残念ながらそうではなく、はじめからなんとなく気になって、どこかしらに引っ掛かるものがあるなかで、まあいいかと買ったもの。日々の手入れも気持ちが入らない。そういうものなら、共に過しているうちについてしまった傷、時間による劣化、そのすべてが負に加担してしまうでしょう。次を求めるこころが前に出て、こころなく接してしまうようになるものです。

はじめは気に入らなかったけど、世話をしているうちに。そういうことも事実たくさんあるのでしょうけれど、でも叶うことなら、はじめから、ずっと大切にできそうなもの、愛せそうなもの、それらを吟味して吟味して、その結果見つけたものがわずかな数しかなかろうとも、長く永く過ごせるものを妥協せずに求められるのがあたたかい生きかたのように思われます。

イデトモタカ