ESSAY

2014-07-17

負けない人。

所有物として意識できる範囲の持ち物を、持ち物として所有する。部屋の整理整頓をするたびに思うことです。

昔よく遊んだRPGゲームでは、たいてい持ち物の個数制限がありました。あれはやっぱり、正しいし、理にかなっていると思います。

人はそんなに多くを持って生きられないのです。まして、冒険してる身であるのなら、なおのこと。

かつて最強を誇ったローマ兵士の強者たるゆえんの一つには、彼らの荷物の少なさがあったのだと本で読んだことがあります。

実際、イタリア人は旅の荷物が少ない人種だそうですが、守るべきものが少ない、失って困るものが少ない、裏を返せば、身軽に生きることができるというのは、それだけで大きな強さなのだということでしょう。

現代における「強さ」ないし「強い」とは、腕力のことばかりではないわけです。では、なんなのか。強さとは。

お金をたくさん持っている? プレゼンテーション能力が高い? 営業力がある? 誰からも好かれて人気がある? 他の人が思いつかないアイディアを思いつく? 相手の反論を全て負かせる弁論術がある?

わかりません。強さの定義は人それぞれでしょうから。ただ、一つこうではないかということがあります。それは「負けない」ということです。

自分の身を破滅に追い込むようなことをしない、そういうものを避けられる人というのは、積極的な強さではないかもしれませんが、致命的な負けを見ることもないでしょうから、ぼくには強い人なのではないかと思われます。

では、どういう人が負けない人か。それは「自分のことがわかっている人」だと思うのです。

敵を知り己を知れば百戦危うからず。

人生における最大の難所は「己を知ること」でしょう。それができないばっかりに、世間では強いとされる人も破滅していってしまうわけでしょう。

そして、己を知るという「強さ」を手に入れるもっともシンプルで重要な取り組みが、所有物として意識できる範囲の持ち物を、持ち物として所有する、ということではないかと思うのです。

手の届く範囲を知ることが、手の届かないものを掴むチカラになるのではないかしらんと。

イデトモタカ