ESSAY

2015-07-12

親密ジレンマ。

人間関係にはジレンマがある。他の人といい関係を築くことは、生きていく上でのリスク回避になる。生き延びるための保険になる。

もしじぶんの身になにか起こったとき、助けてくれるのは他の人間しかいない。そのときに手を差し伸べてくれる相手が何人いるのか。

量よりも質が優先される問題だけれど、それでもそういう人がいると胸を張っていえる人は強く、死ににくい。いいかえると、復活しやすい。

けれどここにジレンマが生じる。

どちらかの身に災いがあったとき、ピンチに陥ったとき、必ず助けると誓いあえる相手はそうそういない。

もしそういう相手がいれば幸福だけれど、その相手が異性なら必然親密な関係になる。それだけの信頼と愛がある異性なら、親密にならない方が不自然だ。

もしそういう相手が同性なら、特に男同士なら、十中八九いつか一緒になにかをしようとなる。「なにか」とは、もちろん仕事や事業だ。

けれどそれではリスク回避にならない。他の誰よりも信頼できどんなときも必ず守ると誓い合うような異性とは結婚する可能性が高い。

他の誰よりも信頼できどんなときも応援し合うと、認め合う同性とは普段から協力して生きる可能性が高い。

しかしそうなると、有事が同時にやってくる。離れているからリスク分散になる。一緒にいないから違う運命を歩み、助け合える。

いざというときに力になってくれる人間関係は貴重。でもその貴重な人間を近くにいさせないことは難しい。それが人間関係のジレンマを生む。

イデトモタカ