ESSAY

2015-09-22

夜の対話。

ある女の子がいいました。

男の人って、どうして、結婚したいけど今はできない、なんて言うの? 待っていたって、なにも起きやしないじゃない。

ぼくは少し考えてから答えました。

結婚したら、してあげたいことがあるんだよ。庭つきの可愛い家で、犬を飼ったり。キッチンにはオーブンがあって、パンを焼いたり。でもそれが今は、まだできないんだよ。

女の子はいいました。

一緒になれたら、それでいいのに。庭も、犬も、オーブンも、いつか叶えばいいじゃない。

ぼくは困りながら答えました。

そのとおりだね。でも男は見栄っぱりだから。庭も、犬も、オーブンも、プレゼントできる男として、好きな女の子をお出迎えしたいんだよ。

女の子は首を振りました。

ちっともわかってない。見栄なんて、いらないのに。家族になったらみんなまるわかりなんだから、背伸びしたって仕方がないじゃない。そんなことより、私は一秒だって早く、好きな人と一緒になりたいのに。

ぼくはまた、困りながら答えました。

男はなにかが起こると思ってるんだよ。奇跡みたいな、なにかがさ。だからもう少し待ってくれって頼むんだ。

女の子はいいました。

馬鹿みたい。

ぼくはうなずき、いいました。

そうだね。

イデトモタカ