ESSAY

2015-12-02

眠れぬ夜に。

眠れない日のために、物語はあるのだと思います。子どもが親に絵本をねだるように、大人にも眠れない日にはお話が必要です。大きくなった子どもとして。

お話は小説でも、漫画でも、映画でも、なんだっていいのです。電話で、友人や恋人の口から聞くお話だっていいかもしれません。家族にしてもらう、家族とするお話でも。

眠れないのが体の問題ではなくて、こころに原因があるのなら、本当は、なおさら眠らなければいけません。眠って、眠って、脳を休めて、落ち着かせなければいけません。

こころが原因で眠れないのは、あたまのなかでいろいろなことばが飛び交い過ぎて混乱していることが多いです。津波に足をさらわれるように、ことばが押し寄せて溺れているのです。

音を消す一番の方法は、音をぶつけることだと理科で習った気がします。あたまのなかの音、鳴り止まない音には、物語の音をぼくはよくぶつけます。小説でも、漫画でも、映画でも。

物語の世界に浸ったからといって、なにかが解決するわけではありません。物語を世界に逃げ込んだからといって、現実が変わるわけでもありません。なにも起きません。

けれど、眠れない夜に、だれもいない不安な夜に、一時的であれこころを救ってくれます。そして、眠らせてくれます。起きたら、解決する力が少しはあるかもしれません。現実を動かすエネルギーが、その身に少しは。

ぼくの書いている文章は物語ではありませんし、短いですから、あなたの眠れない夜の役にはあまり立たないかもしれません。避難所にはなれないかもしれません。

でも、過去記事に行っていただければ、少なからず一晩では読み切れないだけのことばがあるはずです。面白いものばかりではないかもしれませんけれど、眠るまでの支えになれば幸福です。

イデトモタカ