ESSAY

2016-04-16

シシュクる。

私淑ということばがあります。「ししゅく」と読みます。紳士淑女の淑(しゅく)で、この文字は「良い(Good)」的な意味を持ちます。

 子は私(ひそ)かにこれを人よりうけて
 淑(よし)とするなり

という漢語で、直接に教えを受けてはいないけれども、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと(大辞泉)です。

「私淑」はあまり聞き慣れない熟語ですし、日常会話では相手に通じない可能性の方が高いですが、いいことばだなと思いました。

こそっと、勝手に誰かに弟子入りし、非公式な師匠として学び、成長させてもらう。そういう経験は、きっと誰しもにあって、子どもから大人に、いいえ、大人であっても、とても重要な態度に思われます。

それにはきちんと「私淑」ということばが存在し、たった二文字で、しかもずいぶんと昔から行われてきている人間の普遍的なものなのだと知って、なんだか妙にうれしくなりました。

私淑、ぼくもそれはもうしております。身近な相手だったり、一方的に知っている相手だったり、雲の上の相手だったり。本当に弟子入りする気はないし、できないけれども、勝手に師匠にしてしまうことは可能です。

現代的には「モデリング」というのでしょうが、ぼくは「私淑」ということばの放つ、相手への敬意と謙虚な姿勢に好感を持ちます。こからもいろんな人に私淑していきたいと思います。はて、使い方としては、これで合っているのかしらん。

イデトモタカ