ESSAY

2016-06-10

世界一の絶景。

ぼくらはまだ見たことがないものに、興味を覚え、血が興奮する。これだけ開拓されたこの世界でも、まだまだ知られていない絶景はあって、ぼくらはテレビやモニターを通して見るそれらこの世とは思えない景色にどきどきわくわくする。

ぼくは旅人ではないし、とりわけ旅好きというわけではないけれど、いくつかの「絶景」と呼んで異論がないような景色には少ないながら出合ってきた。なかでも腰を抜かしそうになったのはイタリア北部、ミラノの大聖堂(外観)。こころが透明になったのは、同じくイタリア中部、オルヴィエートの大聖堂(内天井)だった。どうやらぼくは自然物よりも、人工物のほうが好きなようだ。

自然の絶景といえば、ウユニ塩湖にはやっぱり行ってみたいなとも思うし、砂漠にもちょっと興味はある。恐いけど深海や宇宙だって見てみたい。まだ見たことのない景色がこの世界にはうんとある。

なんでもランキングにしたり、一番を決めたがるのが人の性なのかもしれないけれど、では「世界一の絶景」とはなんなのか、どこなのか、そういうことを考えてみた。すると、思いのほか早くに答えがでた。あくまでも、ぼくのなかで、だけれど。

ぼくにとっての「世界一の絶景」は、「じぶんによって変わった世界」だと思った。例えばじぶんのアイディアによって、創作によって、じぶんが生きている社会や世界の景色が変わる。みんなの行動や生きかたや価値観が変わる。それ以上に興奮する景色はないはずだ。

ぼくの影響力は、まだまだちっともないけれど、それでもこれまでに書いてきたいくらかの記事の、たった一つでも、どれか一つでも、気に入って、世界が変わったという人がいたのなら、それがぼくにとっては他とは比べようもない「世界一の絶景」なのだ。

死ぬまでに、もっとすごい、「世界一の絶景」を目にしたい。

イデトモタカ