ESSAY

2016-06-12

牛ドバイス。

夏目漱石が晩年、芥川龍之介ら門下生たちに贈ったといわれていることばが、すごく好きです。

 どうぞえらくなってください。
 しかし、あせってはいけません。
 牛のようにずうずうしく
 すすんでいくことがだいじです。

 牛になることはどうしても必要です。
 わたしたちはとかく馬になりたがるが、
 牛にはなかなかなりきれないのです。

 根気です。

 世の中は根気の前には頭をさげますが、
 火花は一瞬で忘れてしまうでしょう。

 牛のように、うんうん死ぬまでおすのです。
 なにをおすかというと、人間をおすのです。

まったく、ぼくらは、馬になりたがります。また、馬であることを善しとしたり、それが理想の、かっこいい生きかたであるかのように、雑誌やテレビなどのメディアの影響を受けます。

あなたも馬になるための7ステップ。馬と牛の10の習慣の違い。だからあなたは牛なんだ。馬はみんなやっている秘密の勉強法。いま大注目の馬の憧れライフに密着。

そういうものを至るところで目にします。やっぱり馬はいいなあという気になります。でもいい加減、馬にはなれないのだ、馬のようなタイプではないのだと感じます。昔はなりたかったし、悔しくもありました。でも、それでいいのだといまは思います。それよりも、根気、なのです。

うんうんとおしつづけたいと思います。死ぬまでおしつづけたいと思います。なにをおすのか。夏目漱石がいうとおり、人間をです。

イデトモタカ