ESSAY

2016-07-27

尽くすしか。

信じて尽くすことしかできない。そういう場面は人生には多いです。むしろ、そうすることしかできません。だれかと共に生きるというのでも、相手はじぶんではないですし、じぶんは相手ではありません。ただ、一緒に生きようと決めたなら、あとは互いに信じて尽くすしか道らしい道はありません。

仕事でもそうです。この人についていこうと思ったら、もうあとは、信じて尽くすしかないのです。裏切られるかもしれないし、期待外れな結果になるかもしれません。けれどそういうものは不定ですから、どれだけ考えてもわからないことですから、じぶんにできることといえば、信じて尽くすくらいです。

尽くす相手は人でない場合もあります。音楽や、詩や、武道や、染め物。なにであれ、信じて尽くすことだけが、可能なじぶんにできることです。見返りがあるかはわかりません。尽くせど尽くせど、見向きもされない、ということだってあるでしょう。

それでも信じられるのか。信じつづけられるのか。それはもう、技術より、知識より、才能より、こころの問題のように思われます。実際、それをするのか、しないのか、尽くすのか、尽くさないのかは、唯一、こころが、決めることです。

尽くすこころを育てましょう、と提案しようとは思いませんが、尽くす人生は、不憫ではなく、うつくしい瞬間がたくさんあります。

イデトモタカ