ESSAY

2016-08-22

牛歩万歩。

けっきょくぼくらは欲張りなのだ。欲張りで、食い意地がきたなくて、それで損をしているというのか、失敗してしまっているのだ。多くを食べずに捨ててしまうのだ。

あれがしたい、これがしたい、もっとしたい、もっともっとしたい。そういう思いが強いほど、長い目で見たときに悲しいほどあれもこれもそれも、手を付けられず、思った以上になにもできず、時間だけが去っていってしまうのだ。

たとえばここに本がある。分厚い、読み応えのある本だ。ページ数は300になる。ずいぶんと専門性の高い本だから、苦労するだろうけれど、読了したなら、達成感とともに重大な知識を得ているはずだ。

よし、読んでやろうと計画を立てたとして、仮に一日1ページ読むというのなら、あなたの鼻息の荒さはおさまらないかもしれない。たった1ページなんて、くだらない、と馬鹿にするかもしれない。それでも、一年後には確実に読み終わっている。

一日に10ページならどうだろうか。これなら一ヶ月で読み終わる。それでもやる気のあるあなたは、どうにも物足りない気がするかもしれない。いいや、おれは、わたしは、一日に2時間読もう、土日には6時間だって読んでみせよう。そう意気込むかもしれない。けれどぼくは、それを成し得たことがない。

毎日10ページで十分なのだ。むしろそれ以上は読み過ぎだ。できる人はもっと進んでいけばいい。ただ、じぶんをできる人だと思わないことも、人生では重要な智恵だとぼくには思われる。

くだらない日々を繰り返しながら、少しずつ前進。

イデトモタカ