ESSAY

2016-10-04

くちに。

口にすれば叶うことは、けっこういっぱいあったりします。それも、じぶんとしてはおおごとだとか、むずかしいことと思っているものが、あっさり希望どおりになるなんてことは、ふしぎでもなんでもなく、あります。

ぼくもこの長くも短くもないこれまでの人生経験のなかで、なんどもそういう体験をしました。言うか、いや、どうするか、言わまいか、でももうだめだ、手一杯だ、言うしかない、と個人的にはずいぶんと追いつめられるところまでがまんしたのに、おそるおそる口にしてみると、ああ、いいよ、なんて口調で軽く叶ったり、そうかそうかとなにごともないように希望がとおったことが何度もあります。

見方によって、それだけまで待ったから、認められたのだというふうにも思われますが、別の見方をするなら、もっと早くに言っていれば、もっと早くに現実は変わっていた気もします。

大事なことは目に見えないということばを、ぼくはとても信用しておりますが、なぜか人はまた、大事なことほど、なかなか口にしようとはしません。言ったらいいのにという願いや希望や願望を、それが大事に思われるほど、言うのが躊躇われます。

ネガティブな結果になったときのことをおそれているからかもしれません。リスクをとるのを避けているのかもしれません。けれどほんとうは、そんなものは、リスクでもないんでもないのだと思えたのなら、なにか変わる気もします。なかなかぼくはそういう感じではありませんけれど、いつだって現実を変えるのは積極的な関与です。

イデトモタカ